あいのうた短歌コンテスト 初心者向け短歌講座あいのうたの作り方 |
「短歌ってどうやって作ればいいかわからない!」
そんなあなたのために、審査員の田中章義先生と当サイトの案内役ツージーが、あいのうた短歌コンテストの過去の受賞作を振り返りながら短歌づくりのポイントを紹介します。
第1回 子どもから大人へ
第1回の今回は「子どもから大人へ」というテーマで、子どもから身近な大人に向けて詠まれた歌を紹介するよ。 |
自分にしか贈れないプレゼント
まずは、お母さんについて詠んだ歌だよ。 |
サッカーでロングシュートをきめたとき かあさんのこえぼくより大きい 横道玄さん(小2) 第5回優秀賞 |
毎日お世話になっているお母さんの印象的な一場面を詠んだ歌。 息子がシュートを決めて、息子よりも大きな声で喜ぶお母さんの愛情がほほえましさとともに伝わります。 |
元気なお母さんの声がこっちにまで聞こえてきそう。 |
作者だけが知っているお母さんの「特別な一瞬」を歌に詠んでプレゼントしてあげることも、カーネーションに負けない、母の日のオリジナル・プレゼントになることでしょう。 |
目で見えたものを詠む短歌が多い中、「声」という音(聴覚)にスポットをあてたところがこの歌のいいところですね。 「香り(嗅覚)」や「味覚」など、「視覚」以外のものもフル活用してぜひ作者にしか詠むことのできない短歌をつくってみてください。 |
時には、カーネーション色の 「31文字の感謝状」づくりを! |
時には、作者だからこその特別な母の日の贈りものを。 世界にたった一つだけの、三十一文字の言の葉のプレゼントを。 |
こんな作品もあります
母作る 三人分のお弁当 一人ひとりに おかずを変えて 篠原華さん(高1) 第5回入選 |
歩いたらカラカラ氷の音がする ママの麦茶が一番おいしい 谷川ゆかりさん(小3) 第4回入選 |
誕生日 寮生活の兄だけど 家でケーキを作り出す母 澤井優里さん(高2) 第1回入選 |
顔みれば 何でもわかる 母親が そおっとココアを 持ってきてくれた 畠山美月さん(高2) 第2回入選 |
ハンカチのやさしいにおいかぐたびに 母の声する「大丈夫だよ」 古澤知佳さん(中3) 第3回入選 |
「心のカメラ」を誰に向ける?
今のはお母さんに向けた歌だったけど、もちろんお父さんに向けた歌もあるよ。 |
アルバムの どこにもいない 父さんの フィルム巻く手は よく覚えてます 中野思穂さん(高2) 第2回入選 |
「どこにもいない」のに「よく覚えてる」、反対の言葉でお父さんを想う気持ちが伝わってくるね。 |
いつも写真を撮る係で、自分は全く映っていないお父さん。自分のことよりも家族を優先し、常に家族のために献身的に働く存在。 そんな、「写真にはいないお父さん」を31文字の主役にして短歌を詠んだ作者の優しさ。 実際のアルバムには映っていなくても作者の「心のアルバム」にはちゃんとお父さんが存在するのですね。 |
これもさっきの歌みたいに、お父さんを想う作者だからこそ見えた景色だよね。 |
短歌を詠むことは、「心の主人公」を意識し、その「主人公」に作者だからこその「心のカメラ」を向けること。 |
「心の主人公」は誰ですか? 自分らしいアングルで 主人公を描けていますか? 誰にでも、自分だからこその 【心のカメラ】があります。 |
時には、ぜひお父さんも詠んであげてください。 お父さんの一生の宝物になるはずです。 |
こんな作品もあります
新幹線 単身赴任の 父を乗せ 東の空へ カーブしてゆく 中村萌菜子さん(中3) 第4回入選 |
完熟のトマトのような陽が沈む ふと思い出す 父との収穫祭 若佐夏未さん(高3) 第4回入選 |
おはようと キッチンで言うお父さん 美味しいご飯 いつもありがと 織田花凛さん(中2) 第7回入選 |
「馬鹿野郎」嬉しいときも怒るときも 口数少ない父の口ぐせ 大場梨香さん(高3) 第3回入選 |