あいのうた短歌コンテスト 初心者向け短歌講座あいのうたの作り方 |
「短歌ってどうやって作ればいいかわからない!」
そんなあなたのために、審査員の田中章義先生と当サイトの案内役ツージーが、あいのうた短歌コンテストの過去の受賞作を振り返りながら短歌づくりのポイントを紹介します。
第4回 隣のきみへ
最終回の今回は、友達や身近な人・ものを詠んだ歌を紹介します! |
詠んだ思い出は古びない
「落ちついて自分信じてやってみろ」 今でもよぎる先輩の声 羽田祐人さん(高3)第5回入選 |
大事な「友達」「仲間」「先輩」を詠んだ「あいのうた」もあります。卒業した先輩がかつてかけてくれた言葉が試合中ふとよみがえり、今も励ましてくれる、という歌。たったひとことの言葉が、一生の宝物になることもありますね。同じ道をめざし、ともに切磋琢磨した先輩だからこそ語ることのできる言葉もあるのでしょう。 |
ずっと前を歩いていた先輩からかけられた言葉だからこそ「今でもよぎる」んだろうな。 |
いい友達やすばらしい先輩、忘れることのできない仲間を得られた学生時代は、それだけでも価値のあるものなのだと思います。 |
「出会えてよかった人」や「出会えて嬉しかった言葉」を五七五七七に詠んでおくと、決して古びることなく、あの頃を思い出させてくれます。【思い出を保存するための究極のサランラップ】――それが「短歌型式」なのかもしれません。 |
出会えてよかった大事な仲間のこともぜひ短歌に詠んでみよう。 学生時代に詠んだ歌、それが素敵な【タイムマシーン】になることもあるから! |
忘れたくない気持ちは、短歌にしてみよう! |
こんな作品もあります
不登校 久々に行き会う友人 以前のように話せてうれしかった 石川真太郎さん(高3) 第6回入選 |
団体戦 うしろにいるのは仲間たち みんなのために 一本とろう 川上未唯さん(高2) 第6回入選 |
横向くと いつも前歯が 光ってる 毎日笑顔を くれる友達 片岡亜弥さん(高2) 第6回入選 |
トライした小さな兄の大きな背 すなぼこり舞う仲間の元へ 石ヶ谷直樹さん(高2) 第5回入選 |
モノへの気持ちもひとつの「あい」
一生は守ってやれない孫たちに シロツメクサの髪飾り編む 畠山みな子さん(宮城県) 第2回優秀賞 |
この歌にとっての「シロツメクサの髪飾り」や、下記の「ベビーカー」「ミット」「シャーペン」「将棋盤」などのように、モノに思いを込めて、作者の気持ちを表現する詠みかたもあります。 |
「スポーツカー」よりも尊い「ベビーカー」が、どんな携帯電話よりも雄弁な「ミットの響き」が、「キーホルダー」にしたいほどの「シャーペン」が、「汚れ」さえも、思い出の模様となっている「将棋盤」が、人生にはあるのですね。 |
何について詠むか、どこをクローズアップするかでも作者の個性が光りそうだね。 |
固有名詞をしっかり入れたり、そのモノの光沢や味わい、思い入れまで的確に表現できたとき、作者の思いが読者の心も潤してくれるのです。 |
大事なモノに「思い」を込めて! かけがえのないモノにも「あいのうた」を! |
こんな作品もあります
乗り慣れた スポーツカーを 手放して ベビーカー押し 父となりゆく 小野史さん(東京都)第6回最優秀賞 |
キャッチボール会話じゃできない父子だけど ミットの響きでお互いを知る 勝俣美由紀さん(静岡県)第3回入選 |
三年間 ずっと使った シャーペンは 壊れた今は 僕のキーホルダー 増田泰杜さん(高3)第7回審査員特別賞 |
汚れてる将棋盤は祖父の物 もうできないけど大切なかたみ 望月敦司さん(高3)第2回入選 |