あいのうた短歌コンテスト 初心者向け短歌講座あいのうたの作り方 |
「短歌ってどうやって作ればいいかわからない!」
そんなあなたのために、審査員の田中章義先生と当サイトの案内役ツージーが、あいのうた短歌コンテストの過去の受賞作を振り返りながら短歌づくりのポイントを紹介します。
第2回 大人から子どもへ
前回とは逆に、今回は大人から子どもに向けて詠まれた作品を紹介するよ。 |
お母さんは○○魚
えっ、おさかな? |
「ちゃあちゃん」が「かあちゃん」になり「おかあさん」へ 出世魚のように母になりゆく 永尾美典さん(兵庫県)第1回 最優秀賞 |
「ブリ」や「ハマチ」のように、どんどん名前が変わる【出世魚】。 こどものお母さんへの呼び名が変わることをとらえて、「出世魚」という言葉を、子育ての現場に持ち込んだのがとても新鮮でした。 |
こどもはどんどん大きくなるけど、お母さんもだんだんとお母さんになっていくんだね。 |
こんなふうに“意外性のある言葉”を見出すことは、他の誰とも違う個性豊かな歌になりやすいですね。 |
【意外性のある言葉】を見つけ出す! |
下記の 「創業二年のやさしいお味」 「焼きたてのクロワッサンの形」 「小さな石さえ素敵なおもちゃ」 「虹のかけらをおやつに」 ――どれも作者が見つけた、個性豊かな言葉たちです! |
こんな作品もあります
「ママどうぞ」 小さな砂の おだんごは 創業二年の やさしいお味 長尾郁子さん(東京都) 第4回最優秀賞 |
焼きたてのクロワッサンの形して 5歳の夏の午後のお昼寝 宮本明子さん(静岡県) 第3回優秀賞 |
笑い声 キャッキャと響く 高らかに 小さな石さえ 素敵なおもちゃ 住田泉さん(大阪府) 第1回入選 |
「ねえ、今日は入道雲でひるねして 虹のかけらをおやつにしよう」 水野真由美さん(神奈川県)第2回入選 |
笑っちゃうようなひとときを
「女子(じょし)」のよみ「おなご」と答えた 小一の息子はじいじと時代劇見る 勝俣美由紀さん(静岡県) 第5回優秀賞 |
おさむらいさんみたいな1年生だね! |
「女子」の読みを「おなご」と答えた小学一年生男子のほほえましさ。 毎年何千首もの応募がある中でも、一読して覚えてしまったほどのインパクトでした。 おじいちゃんと一緒に時代劇を見ている小学一年生、とてもいいなあと思います。 単に言葉のインパクトだけではなく、祖父と過ごす時間の豊かさも感じられて、笑顔のあとにはあたたかな気持ちにもなる一首でした。 |
おじいちゃんの隣でちょこんと座ってる息子さんの様子が目に浮かぶね。 あるいはおひざの上かも。 |
「じいじ」「時代劇(じだいげき)」と「じ」のつく言葉のたたみかけも効いていますね! |
「ユーモア」のセンスも、魅力的な歌をつくる上で、役に立つ要素です。 ユーモラスな短歌を読むこと――それも、時には「ココロの換気」です。 |
換気は大事! |
ユーモアのセンスで、 自分も周囲も読者までも笑顔にする! |
こんな作品もあります
「ショージキ」に話せと言われ幼子は 「ソージキ」前に頭下げおり 河内香苗さん(兵庫県) 第2回入選 |
ダイエットなんてやめてよ 父さんがアンパンマンじゃなくなるじゃない 松下幸子さん(兵庫県) 第3回入選 |
「ばあちゃん家(ち)行くね」と孫の電話あり 「じいちゃん家だ」と言えぬさびしさ 渡辺廣之さん(大阪府) 第3回入選 |
「おれらには、言葉はいらん。」あなたのね その声下手な字 好きなんだけど 村松淑美さん(静岡県) 第7回入選 |